#7

DX×スタートアップ支援で、佐賀のビジネスをアップデートする。

#7

DX×スタートアップ支援で、佐賀のビジネスをアップデートする。

AI技術やメタバースなど、日々、目まぐるしく技術革新が起きるこの時代。佐賀県庁では全国に先駆けて、2020年にDX(デジタルトランスフォーメーション)推進とスタートアップ支援という2つのチャンネルを持つ「DX・スタートアップ推進室」を発足。非IT企業へのデジタル技術の導入実績が年70件を超えたり、全国規模のビジネスアワードを受賞する起業家を輩出するなど、立ち上げからわずか2年足らずで着実に成果を上げている。その一連の取組みついて担当チームに取材を行った。

Member

北村 和人

1993年入庁

産業労働部
産業政策課
DX・スタートアップ推進室
室長
行政職

石橋 一樹

2016年入庁

産業労働部
産業政策課
DX・スタートアップ推進室
係長
行政職(UJIターン枠)

村川 敬積

2017年入庁

産業労働部
産業政策課
DX・スタートアップ推進室
主査
行政職(UJIターン枠)

五郎川 裕美子

2017年入庁

産業労働部
産業政策課
DX・スタートアップ推進室
主事
行政職

井上 絢水 

2020年入庁

産業労働部
産業政策課
DX・スタートアップ推進室
主事
行政職

※掲載されている情報は取材当時のものとなります。
※記事中の写真は一部イメージです

佐賀の産業を活性化させるために。イノベーティブな組織を発足。

DX・スタートアップ推進室が立ち上がったのは2020年のこと。新卒入庁組の職員はもちろん、通信インフラやアパレル業界など民間企業出身の職員が4名と半数を占め、個性豊かな顔ぶれだ。「社内のIT強化に力を入れたい県内企業とか、画期的なビジネスにチャレンジする起業家などは佐賀にも少なくないものの、具体的に何をするべきか、どこに相談すればいいのかわからないケースが多い。そういった方々に機会を提供するのが我々の使命ですね」と語る北村室長。専門的な知見や技術を持つ協力企業と連携しながら県内企業のデジタル化を進めたり、起業家を支援することで県全体の産業を活性化させ、雇用の総数を増やしていくことが狙いだ。五郎川氏も「コンセプトは『テクノロジーとビジネスの未来をデザインする』こと。“デジタル技術や起業というテーマで新しいプロダクトやサービスを世に送り出す。”そんなイノベーションに挑むチャレンジングな企業や起業家の背中を押していきたい」と続ける。

ビジネスパーソンから、企業まで。盤石なサポート体制のDX事業。

DX事業は、2つの軸でプロジェクトを行なっている。一つは、「佐賀県産業スマート化センター」という県内企業のDX推進支援に特化した全国初の施設だ。デジタル技術を導入したい県内企業に対し、経営課題に応じたソリューションやサービスなどの紹介や助言、200を超える協力企業から寄せられたアプリやデバイスのショールームでの体験、セミナーやイベントの開催、さらには導入を進めたい県内企業とIT企業とのマッチングまで、その機能は多岐に渡る。「わかりやすい事例ですと、とある企業のバックオフィス業務改革を支援したことがあります。書類のデジタル化やクラウド会計ソフトの導入を行うことで、二日半かけていた事務作業が、1日わずか30分の在宅ワークでやれるようになったそうです」と手応えを感じる石橋係長。もう一つの軸は、プログラミング言語「python(パイソン)」を習得するためのAIエンジニア育成講座「SAGA Smart Samurai」。「企業のデジタル活用が広がる中、ITスキルを武器に戦うサムライのよう存在になってほしいという願いを込めています」と井上氏。今年度は、自治体では異例の規模となる定員200名に対して、800名もの応募が殺到している。

起業、資金調達、企業マッチング。包括的な支援を行うスタートアップ事業。

スタートアップ事業の特徴の一つは、企業や起業家のフェーズに合わせた3種類の個別指導プログラムを実施していること。そのうち、一つ目は起業を考えている人を対象にビジネス創出の手助けをする「Startup Gateway SAGA」。二つ目は、現役の投資家がブラッシュアップを行う「Startup Boost SAGA」。三つ目は、ビジネス化に向けて協業先などをマッチングする「Startup Connect SAGA」。このように複数の個別指導プログラムを連動させたサポート体制は、全国的にも珍しい。「これらは外部の企業などが受託していますが、実はプログラムごとに受託者を分けています。プログラムごとの目的に適した受託者を選んだほうがより深い支援になる。そういったフレキシブルな座組みを可能にしているのは、柔軟な土壌を持つ佐賀県庁ならではですね」と村川氏は胸を張って話す。 さらに、もう一つの特徴は、こうして育ったスタートアップ企業が先々、民間からの資金調達を果たして自律的に成長していけることを意識した資金調達支援を行っていること。このため、例えば「佐賀県版マネーの虎」と呼ばれる「Startup Launch事業化補助事業」や全国的にもユニークなクラウドファンディングの活用を支援する協定制度などを設けている。

佐賀県から、日本全国へ。 次々とイノベーターを輩出。

「DXとスタートアップ。二つの事業が一つの部署に共存しているからこその利点もあります」と石橋係長。最初はDX事業で支援をしていた企業等を、ビジネスとして確立させるためにスタートアップ事業でのサポートに切り替えることもあるそうだ。どちらの事業が入り口でも橋渡しができることや、互いに蓄積した知見を共有することで様々な成果を上げている。DX事業では「佐賀県産業スマート化センター」経由でデジタル技術を取り入れた企業が昨年は70件を突破。一方のスタートアップ事業でも、支援してきた起業家が全国の女性起業家を表彰する「J300アワード」の大賞に輝いたり、県外から移住し、佐賀で起業した起業家が「九州・山口ベンチャーマーケット2021」のスタートアップ部門で優秀賞を受賞するなどめざましい成果を上げている。部署の立ち上げから短期間でスピーディに結果を出せているのは、意思決定の早い佐賀県庁ならではと言えるだろう。「今後は、“何かにチャレンジしたいけど、きっかけや機会がつかめない”とモヤモヤしている人々に光を当て、機会を提供できればいいし、そうした人たちが佐賀に集まることで、佐賀自体がイノベーションの苗床になっていけば…」と展望を語る北村室長。日々相談に訪れる人が増え続ける中、「DX・スタートアップ推進室」発のメガベンチャーが生まれる日もそう遠くはないのかもしれない。

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