学生時代も、職員になった今も。 水産の研究に没頭する日々。
大学時代は水産生物科学コースに在籍しており、主に魚の回遊に関する研究をしていました。漁業者と協力して意見を交換しながら研究に励む日々。おのずと将来は、専攻を活かすことができる仕事に就きたいと考えるようになりました。また、私は佐賀の出身なので、地元に戻って地元のために働きたいという想いもあったんですね。そんなに私に、佐賀県庁の水産職は最適。迷うことなく応募をしましたね。実際に就職はしたものの、今でも大学生の頃のように研究手法に関して考えたり、関連する論文を読み書きしたり、漁業者や他の研究者と情報交換をするということは変わりません。大学時代に培ったことが、そのまま実務に役立っていますね。
大の苦手分野だった
プランクトン漬けの日々。
主な担当業務は、赤潮や貝毒プランクトンのモニタリング、定置網漁業のスマート化、地域特産品の開発、魚病診断や養殖指導と多岐に渡ります。今でも印象に残っているのが、入庁してすぐに担当した赤潮調査。玄海地区では、夏に有害プランクトンによる赤潮が発生することがあるので、その度に調査に行き、プランクトンを検鏡して情報を発行。そして漁業者へ連絡するというのが1日の流れでした。しかし、プランクトンは大学生の頃から私の苦手分野。顕微鏡でプランクトンを観察しても、チンプンカンプンという状況でした。先輩から丁寧に指導をしていただいたり、プランクトンを撮影した動画や写真を見たりするなどプランクトン漬け(笑)の日々を過ごしたおかげで、様々な知識を得ることができたんです。
活力をくれる水産業に、
活力を与えられるように。
仕事柄、漁業者の方々と一緒に仕事をすることが多いのですが、そういった方々から「頑張ってるね」「これからも期待しているよ!」といったお言葉をいただいたときはすごく嬉しいですね。「次はもっと頑張ろう!」とモチベーションにもつながります。日々、この業界に元気をいただいているなとつくづく実感しますね。しかし、玄海地区の水産業には、人手不足や魚価の低迷といった課題もあります。私はそれを改善すべく、ICT機器を導入して操業の効率化や出荷調整、流通販売改善などによるスマート化を図る事業にも取り組んでいます。漁業者から流通現場まで、ICT機器を導入して利活用できるようになれば、漁家経営も改善されるでしょう。今はまだまだ道半ばですが、水産業界全体を活気づけられるように一生懸命頑張っていくつもりです。
玄界灘と有明海。
魅力的な海に面した土地。
佐賀県は非常に面白い土地柄で、玄界灘と有明海という全く特性が異なる海に面しています。有明海では日本一の海苔を始め、エツやワラスボ、アゲマキ、サルボウといった特有の魚介類が揚がります。一方、玄界灘はイカや赤ウニ、マダイなどの様々な魚が漁獲できる海。マガキやマダイ、ブリなどの養殖も盛んなので、多様な魚種漁法に関わることができるんです。自ずと好奇心が刺激され、学べることが多すぎて毎日が活き活きとしていますね。また、県の水産職員は、転勤があると引越す場合もありますが、佐賀県はコンパクトな県なので引越しをせずに通勤することもできます。仕事の本質ではないかもしれませんが、このような特長がある県は、日本中どこを探しても中々ないのではと思いますね。