地元・佐賀で見つけた、またとない「研究」の
舞台
以前は別の自治体で働いていましたが、出身地である佐賀県で学芸員の採用があることを知り、心が大きく動きました。地元の歴史を守り、人々とつなぐことに直接貢献できるチャンスは、人生でそう何度も訪れるものではないと感じたからです。当時の職場の仕事にもやりがいを感じており、あえて新しい場所に飛び込むことに不安もありましたが、それ以上に「これまでの経験を大好きな佐賀で活かしてみたい」という前向きな期待が、一歩踏み出す決め手となりました。

名もなき足跡を辿り、
古文書の「声」をカタチに
現在は博物館の学芸員として、佐賀に伝わる古文書の調査研究を中心に、資料の収集・保管から、企画展の計画まで幅広く取り組んでいます。日々、多くの資料と向き合い、調査した成果を報告書にまとめ展示を通して県内外の方々へ紹介するのが私の役割です。意識しているのは、歴史上の偉人や華やかな出来事だけに目を向けないこと。一見地味に思えるような一般の人々が果たした役割や、日々の暮らしの営みにこそ注目し、埋もれていた歴史の断片に光を当てることを大切にしています。一目には平凡に思える記録の中に、当時の人々の生きた証を見出す作業は、まるで過去と対話するような静かな興奮があります。こうした地道な調査研究こそが、展示の質を支える土台となり、県民の皆さんに「立体的な歴史」を届けるための欠かせないプロセスだと考えています。

資料の向こう側と、来館者の関心がつながる瞬間
古文書を読み解く中で、教科書には載っていない歴史上の人物の意外な素顔をふとうかがい知ることがあります。その発見を展示やセミナーで共有し、来館者の方から反響をいただけた時の喜びは格別です。ギャラリートークで「この資料についてはどう考えたらいいのか」と、紹介した事例からお客様自身の関心がさらに拡がっていく様子を目の当たりにすると、歴史の断片が、誰かの日常の景色を少しだけ変える、この仕事の確かな意義とやりがいを静かに噛み締めます。

同じ志を持つチームで、
未知の歴史を掘り起こす
入庁前は、学芸員の世界は年功序列というイメージを持っていました。しかし実際に働き始めると、学芸員として研究課題に取り組む際は、上司や部下という枠を超え、同じ目的を持つ「先輩・後輩」や「チーム」としてフラットに議論できる関係性があることに驚きました。県内にはまだ十分に調査されていない古文書が山ほど眠っています。それらを一つひとつ解読し、新しい歴史を共に「発見」していける環境に、日々ワクワクしています。専門性を活かしつつ、チームの力で佐賀の歴史を未来に遺していく。この開かれた探求の場こそが、今の誇りです。








