#vol3: 佐賀とDESIGN | これからの「佐賀」の話をしよう

地方自治体がデザインに目覚めるとどうなるか。

地方自治体としては異例とも呼べる「さがデザイン」は、佐賀ゆかりのクリエイターと連携しながらデザインの視点で施策の磨き上げを図る一方、県庁組織内の部署や情報を横断するハブのような機能も兼ねた部署だ。これまで数々のプロジェクトに携わってきた同部署の坂本氏と、佐賀城公園リノベーションなどでさがデザインと関わってきたオープン・エー加藤氏に、これまでのお話や佐賀県の未来について話を聞いた。

坂本 修平

政策部 政策チーム さがデザイン

1989年生まれ。2014年、佐賀県庁に入庁。旧・観光戦略グループで外国人観光客向けのPR 事業、観光課で「ロマンシング佐賀3」プロジェクトなどを担当した後、「さがデザイン」に異動。以来、佐賀城公園リノベーションや県民の歩くライフスタイル推進プロジェクトなど、クリエイターたちと連携しながら多様な行政プロジェクトに従事している。

加藤 優一

オープン・エー 建築家

1987年山形県生まれ。東北大学博士課程単位取得退学。2015年、建築設計を基軸にリノベーションや公共空間・地方都市の再生、本やメディアの編集・制作を横断的に行う建築設計事務所「オープン・エー」に入社。建築の企画・設計、まちづくり、公共空間の活用、編集・執筆などに携わる。個人でも銭湯関連の会社を経営するなど、多方面で活躍中。

PROFILE

※掲載されている情報は取材当時のものとなります。

デザイン視点を行政に活かす。 前代未聞の部署「さがデザイン」とは?

加藤

私と坂本さんが出会って4年程経ちますが、こうした場でお話しすることになり、ちょっと感慨深いです。

坂本

そうですね。私が「さがデザイン」に異動してきて、今年の4月で丸4年になります。

加藤

もうそんなに経つのですね。その前は、どちらの部署にいらっしゃったのですか?

坂本

入庁して最初は観光行政に携わっていたのですが、「さがデザイン」が発足して1年半程経った頃に 異動になりまして。現在は私を含めて5名の職員が在籍しています。

加藤

私は普段から坂本さんと色々なお仕事をご一緒させていただいておりますが、他にはどんな業務に携わっていますか?

坂本

加藤さんも関わられている公共空間のリノベーションの他、例えば佐賀県民の歩くライフスタイル推進といった意識啓発系のプロジェクトからチラシデザインのサポートまで、大小様々な案件に携わっています。各プロジェクトにおいてさがデザインの関わり方は様々ですが、基本的には、クリエイター・担 当課と一緒に課題の整理やコンセプトの抽出を行い、それに沿って企画をサポートしています。あとは連携が必要となるであろう県庁の部局間を繋ぐのも我々の仕事ですね。

加藤

県庁内の組織を繋ぐハブのようなイメージですかね。デザインと一口に言っても単にポスターなどビジュアルのデザインだけでなく、総合的な視点で創造的に課題解決をする広義の意味でのデザインに近いかと。

坂本

そうですね。複数の部局に関わりがありそうなプロジェクトを一つの課だけでやると、どうしてもどこかの視点が抜け落ちたり、プロジェクトがスムーズに進まないこともあったりします。

加藤

確かに。本当はアプリなどソフト面でも連動した方が絶対良い効果があるのに、ハードの整備しか想定していなかったケースですとか。

坂本

そういった時に、様々な部局の案件に関わり色んなリソースを貯め込んでいるさがデザインが入ることで、客観的な視点で連携を促すことができているのかなと思います。そうしたことも含めてさがデザインが総合的に課題解決をサポートしていきます。加藤さんを始め、オープン・エーの皆さんにもたくさ んご協力いただいていますね。そのおかげで、今では県庁内で「何か困った時はさがデザインに相談しよう」といった雰囲気が広がってきたかなと思います。

「さがデザイン」の誕生が、 クリエイターのハートに火をつけた。

加藤

「さがデザイン」って地方自治体の部署としては極めて珍しい存在ですよね。立ち上がった経緯が気になります。

坂本

2015年に山口知事が就任されたのがきっかけですね。あらゆる県庁の施策を「さが創生」と「さがデザイン」の両輪で取り組む、という方針を掲げられまして。

加藤

知事はさが創生と並び立つものとして、なぜデザインを選ばれたのでしょうか?

坂本

前職時代にクリエイターと共に仕事をされた経験を通して、彼らの持つ「物事の本質を的確にとらえる視点」や「課題解決力」に注目されていたそうです。その力を行政にプラスすることで施策そのものが息づき、県民の想いも反映されてより良くなるのではないか?と。その考えが具現化された仕組みが「さがデザイン」というわけです。

加藤

なるほど。地方自治体にデザイン視点を取り入れるという発想は非常にユニークですね。

坂本

さがデザインの発足当時の担当者は、とにかく色んな佐賀ゆかりのクリエイターさんにヒアリングを行い、「デザインとは何か?」「行政にどうやってデザインの視点を組み込めばいいのか?」を模索した そうです。その際は、御社代表で伊万里市出身の建築家・馬場正尊さんにもたくさん助言を頂きお世話になりました。そしてさがデザインの誕生が、馬場さんら佐賀ゆかりのクリエイター主催のイベント「勝手にプレゼン FES」に繋がっていくんですよね。

加藤

弊社の代表・馬場は、佐賀県がデザインを政策に掲げたことを知り、「それなら我々佐賀出身のクリエイターにできることがあるんじゃないか?」と思い立ち、仲間たちと同イベントを立ち上げたそうです。知事や県庁職員の方々に集まってもらい、クリエイター達が企画をプレゼンするこのイベントは過去に4回開催していますが、事業化された企画も多い印象です。

坂本

はい。実際に県政に反映された企画もあり、通算1割ほど事業化してます。

加藤

1割!それはすごいですね。

坂本

ありがたいことに、クリエイターの皆さんの佐賀に対する熱い思いと、佐賀県庁のスピーディーな実行力がうまく噛み合ったのだと思います。

県民の憩いの場を作るために。 佐賀城内公園をリノベーション。

坂本

加藤さんとご一緒させていただいたプロジェクトの一つが、佐賀城公園リノベーションでしたね。

加藤

はい。当時は城内エリアの各施設が老朽化していたのと、「維新博(肥前さが幕末維新博覧会)」も控えていたタイミングでしたので、エリア一帯を新しくしようという機運も高まっていました。私はエリア全体のビジョン作りと各施設のデザイン監修、関係者調整などを担当しましたね。

坂本

加藤さんといえば、同エリア内の県立図書館前広場を「こころざしのもり」としてリノベーションされた印象が強いです。おかげさまで、ちょっと暗い雰囲気で立ち寄る人が少なかった広場が、開放的で明るい雰囲気になりましたね。今は新型コロナの影響を受けていますが、ベンチに腰掛けて読書をされるご年配の方やピクニックを楽しむご家族など、今までになかった風景が日常化しました。

加藤

ありがとうございます。私も印象深いプロジェクトで。図書館裏に位置するあまり使われていなかったコンクリート敷きの広場を、子どもから大人まで楽しく過ごせる芝生に一新しています。あとは「広場と図書館を繋ぐ」というコンセプトで双方をデッキで繋ぎました。家族や学生がデッキでくつろいだり、子ども達が安全に駆け回れるように細部まで設計にこだわりまして。

坂本

佐賀城公園は、お堀の内側に史跡だけでなく住宅や学校、さらにはコンビニまである全国的に特殊なエリア。自然環境も整っているので、人が集まるには最適な場所ですよね。

加藤

佐賀城内エリア全体をリノベーションできたのは「さがデザイン」の存在があったからこそ。行政は原則単年度で予算が組まれるので、部分的な整備に留まり、次の事業に結びつかなかったりすることがある。そんな中「さがデザイン」という存在あることで、個々の担当が変わっても、ノウハウや意志がずっと続いていくのは大きいですよね。

写真:水田秀樹

新しいことを始めやすい環境だからこそ、 これからの佐賀はますます面白くなるはず。

加藤

佐賀ってすごく魅力的な土地。人が良くて仕事がしやすいし、何より純粋に訪れたくなる。人懐っこさと風通しの良さが共存していますよね。

坂本

ありがとうございます。たしかに、さがデザインの仕事をしていて違う部局同士がすんなり連携できちゃう場面を多々見てきましたが、加藤さんが感じたような風土が佐賀県庁の中にもあるんでしょうね。

加藤

結局、仕事は信頼関係ですから、人柄は本当に大切。佐賀の方と一緒にお仕事をすると早々に意気投合して「良いものを作ろう!」と互いにモチベートし合えます。それに、伝統的な技術を活かしながら新しいものを生み出そうとする、クリエイターさんも多いですよね。

坂本

焼き物などの工芸品はもちろん、幕末維新期には日本初の蒸気船製造など、佐賀は創造することに長けた県だと思います。そうした土地柄が、いわゆる「尖ったこと」を他の都道府県に比べて実行しやすい雰囲気に繋がっているのかも。

加藤

それと、県庁内での承認プロセスがかなりスピーディな印象です。みなさん自分ごととして考えてくれますし、まずはチャレンジしてみようという柔軟さがありますよね。

坂本

まさに仰る通りだと思います。新たな取り組みを始めやすい。それで少しずつ成功体験を積み重ねていくことで、佐賀はさらに魅力的になるんじゃないかと思います。

地元クリエイターとのさらなる連携。 2 人が思い描くこれからの展望。

加藤

今後の展望みたいなものはありますか?

坂本

クリエイターさんたちが活動しやすい佐賀になれば良いことがたくさんあると思っています。今は新型コロナウィルス感染症などの様子を見ながらですが、クリエイターと県職員が交流する機会を様々な形で作り出し、クリエイターの皆さんの意見をたくさん聞くとともに、県庁職員にとってデザインがより身近になるよう取り組んでいきたいです。加藤さんはこれから挑戦したいことってありますか?

加藤

昨年、佐賀市内に事務所をつくったのですが、クリエイターが集まれる場所にしたいと思っています。小さなシェアライブラリーをつくって、本を読んだり、作業ができる自由な空間を提供することで自然にコラボレーションが生まれるようにしていきたいですね。あとは佐賀県庁でインターンできないですかね、交換留学プログラムみたいに。

坂本

それ面白いですね。県職員にとってもすごく刺激になると思います。今まで考えられなかったようなステキな座組が生まれそうです。

加藤

魅力的な人が沢山集まりそうですよね。坂本さんは、どんな人が県庁に向いていると思いますか?

坂本

向いているというか、何事も楽しめる人、好奇心のある人は強いと思います。日々世間のニーズや課題が多様化するこのご時世、県庁職員も情報をアップデートしていかないとついていけなくなっちゃいます。

加藤

それを乗り越えるためにも、さまざまなことが起こり得るプロセス自体も含めて面白がれるマインドが大切なんですね。

坂本

はい。これを聞いて「すべての仕事が楽しめるもんじゃないだろ」と思うかもしれませんが、そうした分野にこそデザインの視点が加わり初めて顕在化する課題や、それを解決する画期的なアイデアが生まれるかもしれません。今後もクリエイターの皆さんと連携しながら、様々な部局のサポートをしていきたいと思っていますので、ご賛同いただける方、お待ちしております。

写真:藤本幸一郎

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